「キリンジ」の音楽と歌詞と、それから文学と

LINEモバイルのCMがYouTubeの広告として頻繁に表示されていたのがきっかけで、キリンジにハマりつつある今日この頃。

YouTubeの広告って大抵くだらないやつか、邪魔なやつが多くて、大半はスキップするんだけど、この広告を見たとき、まず曲で良いな、と。ボーカルに聴き覚えはあったから、もしかしてキリンジじゃないかなと予想は立てていた。そして、実際に調べてみると案の定やっぱりそうだった、という流れだ。

なぜMVNOの広告で、しかも「愛と革新」にキリンジの「エイリアンズ」なのかは正直よく分からないけれど、ターゲットとして狙っている層がキリンジのリスナー層なのかもしれない。(多分違う)

この曲を聴く前には、キリンジと言えば「ロマンティック街道」くらいしか詳しくは知らなかった。(しかもなぜロマンティック街道というセレクトだったのかは自分でも正直よく分からない)

ロマンティック街道

ロマンティック街道

  • KIRINJI
  • J-Pop
  • ¥250

でもこのCMで使われている「エイリアンズ」―楽曲も最高だし歌詞も魅力的だ。

団地が窓越しに見えるような衛星都市の情景が目に浮かぶ。

そして僕が個人的に気に入っているのは、「バイパスの澄んだ空気と君の街」という歌詞の部分。バイパスが出て来るあたりが、衛星都市らしいし(都会の近くにありつつも、大都会ではないベットタウンのような位置づけ)その雰囲気が僕の中ではすごくリアルに浮かんでくる。団地が立ち並ぶ少し郊外の街並み。たくさんの人が住んでいるけれど、どこか空虚な感覚を抉る街と言うべきだろうか。こんなことを書いていたら、角田光代空中庭園を思い出してしまった。

空中庭園 (文春文庫)

空中庭園 (文春文庫)

 

 ▲郊外の団地に住む京橋家の人々が、各々の視点から家族や生活を見つめた作品。郊外、そして団地という言葉がキーになっていて、この楽曲とも少し重なる世界観があるように思える。

話が少し逸れてしまったが、僕はこの曲のような多様な解釈ができる歌詞とか、正直一回読んだだけでは良く分からない面倒くさい歌詞のようなものが好きだ。最近のJ-Popの歌詞は、直喩的表現がとりわけ多いように思えるけれど(意外とアイドルポップスとかの方が含蓄のある歌詞を歌っていたりして、面白いのが最近の傾向ではないか)やっぱり僕は小説と同じように、色んな方向から色んな読み方ができる歌詞が楽しいと思う。

歌詞の中の文学性と言えば良いのかもしれないが、キリンジの歌詞にはそういう文学性のようなものが多分に含まれていて、聴いていて、そして考えていて面白い。

そして、楽曲に関しても完成度がものすごく高い。異様なコード展開で予想外の展開をしたり(エイリアンズは、キーがBメジャーで展開されているらしい)と歌詞だけでなく楽曲でも技量の高さを見せつけてくれるキリンジ。さすが、麒麟児(ギフテッド)、(良い意味で)謙遜する気もなさそう。

そんなわけで、キリンジ―しばらくの間、何度も聴くことになりそうだ。

エイリアンズ

エイリアンズ

 
エイリアンズ

エイリアンズ

  • KIRINJI
  • J-Pop
  • ¥250